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CKD-MBDとNew ComerのMg
演題番号 : SY-01-3
【演者】
大矢 昌樹:1
【著者】
大矢 昌樹:1
1:和歌山県立医科大学 腎臓内科学講座
【はじめに】骨病変を主体とした腎性骨症(ROD)は、時代ともに生命予後や検査異常そして骨代謝異常などを包含した広範な概念であるCKD-MBDに変遷して来た。これまでのCKD-MBDではカルシウム(Ca)、リン(P)、副甲状腺ホルモン(PTH)やビタミンDが4大メジャープレイヤーであった。最近、マグネシウム(Mg)が新たなメジャープレイヤーとして注目を集めて来ている。今回の発表では、Mgとは何かを述べた後に、CKD-MBD領域におけるMgの情報を文献例も含めて自験例を交えて報告する。
【背景】Mgは生体内の重要なミネラルの1つで、300以上におよぶ多くの酵素の補因子となり、エネルギー代謝やDNA合成、タンパク合成に関係しているため細胞内液に多いと考えられている。生体内における陽イオンとしては、Ca、カリウム、ナトリウムに次ぎ4番目に多く、さらに骨においては、2番目に多い。アルブミンを中心とした血清蛋白に結合したものと、イオン化Mg(Mg2+)としての存在がある。Ca2+と同様に生理活性はMg2+が主となるが、総MgとMg2+では正相関関係が報告されている。Mg代謝異常は、ほとんどがMg欠乏となる。
【結果】CKD-MBD領域としては、疫学的研究においてMg摂取量や血清Mg濃度と骨密度には、有意な関連性がある。MgはCaチャネルのantagonistとしての働きを有し、細胞外Ca感知受容体(CaSR)は、Mgにも反応する。このため、CKD-MBDに密接に関与が疑われ、最近ではJSDT統計調査の結果から、血清総Mg濃度が高いほど生命予後が多い事が報告された。この理由については種々想像されるが、我々は尿毒症状態でVDRA の投与とは無関係に、1231名の患者データからCaやリンとは独立したMgのPTHの抑制作用を見いだしている。またin Vitroにて血管平滑筋細胞にて報告されている石灰化に対するMgの役割を、血管組織培養系において検討した成績を紹介する。
【結語】以上より、MgのCKD-MBD領域における役割と今後の展望を考えてみたい。
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