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「もう年寄りだから」、「どうせ透析を受けている身だから」と諦めてしまうのと、「まだまだ元気、人生バリバリ現役目指します」、「透析を受けているなりに元気に過ごしたい」と自発的に願うのとでは、本人の毎日も大きく違ってくると思います。
うちは患者さんに「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼びかけること、「透析受けてるのにそんなことしたいの?」はNGです。80代に突入されても、ご本人が散歩や旅行を続けたい、家族とワイワイ遠出したい、といった希望を持っていらっしゃったら、無茶ではない限り決して「年だからやめておけ」とは言わずに応援させていただく方針です。
元来アクティブで今の状況に忸怩たる思いを抱いている方だと、例え80代であっても前向きに透析に取り組んで下さる例も少なくないです。透析不足で気力がそがれている状態ともなればやる気や明るさが一時的に失われていても仕方がありませんが、しばらくすれば気持ちも生活内容も見事復活を果たされる感じです。
しかし、全員が「老いてもなお前向きに」という意欲に満ちている訳ではなく、何もせずボーッと暮らすのが好きな方とか、物事に総じて消極的な方もいらっしゃるかと思います。「透析で毎回何時間も拘束されるぐらいなら早く解放されたい」、「元気になる努力なんてどっちでもいいから放っておいて欲しい」、「早くお迎えが来ますように」というお気持ちが本来の性格に添ったものであれば、ご家族がどんなにプッシュしても大きく意識を変えるのは難しいのかもしれません。
いずれにせよ特に年配の方には、スタッフの出入りが激しくその度に新顔に慣れ直さないといけない状況はしんどいと思います。慣れている相手には言いやすい要望やちょっとした雑談も、新入りのスタッフには気軽に言い出せず、結果として遠慮して口をつぐんだままになってしまうことにつながりかねません。「言いづらい」「言っても無駄だし治してもらえないなら、言わないし気にしないことにする」という環境が、痛いのに痛いことを隠すような我慢、何らかの兆候がスタッフに伝わらない原因、透析を受けることそのものへのあきらめや無関心につながることも考える必要があるかもしれません。
(何より、スタッフが定着しない職場は現場の質やモラルにも影響するでしょうし・・・)
6〜7時間とかオーバーナイトとか若い人ならバリバリ挑戦したくなるような透析を最優先するのもありだと思います。でも、4時間半〜5時間程度の透析であってもそれを年配の女性にしてみれば十分だと考えることにして、いつも同じ先生・スタッフが見てくれて、「食欲モリモリでちょっと食べ過ぎちゃいました?おいしかった?良かったですね〜。いい透析で元気になれた証拠ですよ!でも少し気を付けましょうね。」等と明るく声をかけてくれるような安心感・励みを重視する選択肢も、透析生活の質という点では捨てたものじゃないと思います。
亡くなる人も少なく人間関係も落ち着いている施設であれば、どんな風に元気になったか待合室で披露し合える患者仲間との井戸端会議などもあるでしょうし、年配のお母様にはそういうゲートボール場の社交みたいな穏やかな透析生活の方が幸せ度が高いかもしれません。そういう施設は周囲が説教しなくても、患者さん同士の交流や電話・メール交換で「しっかり透析して、こんなことして暮らせてるよ」、「子供と孫と出かけて楽しかった」という話やらが勝手に流れるので、楽だったりします(^^)
あとは暇潰しにテレビやDVDで楽しい映画とかを見られるようにするとか、いい透析を受けたぶん味気ないストイックな食事を一休みして本人が喜ぶメニューを混ぜてあげるとか、お孫さんと近所の観光地に遊びに行くとか、とにかくプラスな物事と透析とを結びつけてあげるといいんじゃないでしょうか。
ご本人が今の施設でオーバーナイトのような長時間拘束まで望まれているのか、また本来の性格からしてどのように過ごされるのがベストなのか、娘さんが良かれと思って夏バテの中散歩を勧めてくれるぐらいの熱血透析ライフをどんな風に感じたのか、また実際に当人としては仮に今より調子が良くなったら何をして過ごしたいと思っているのか・・・などなど、一度ゆっくり話し合うなどして再点検されてはいかがでしょうか?
長文、失礼致しました。
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