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【31018】急性呼吸促迫症候群 ARDS
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 kusakari  - 12/12/6(木) 9:12 -

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   急性呼吸促迫症候群(ARDS)(ショック肺)acute respiratory distress syndrome(shock lung)

 重度外傷,大手術,大出血,挫滅症候群,広範囲熱傷後,ショック,膵炎,異型輸血,DIC,嚥下性肺炎,体外循環後,くも膜下出血後,その他の重症患者(ショック状態にあると解釈してもよい)において,直接肺の損傷や肺疾患の既往がないのに呼吸不全で死亡する例がある。このような肺の病変に対してはARDSという名前が与えられているが,これはまた,shock lung,wet lung,posttraumatic lung,posttraumatic pulmonary insufficiencyなどの名前でも呼ばれることもある。
 ARDS(ショック肺)のはっきりとした病態,原因はまだ定まっていないが,病態の推移は次の4相に分けて考えられている。
 〔第1相〕 ショック,外傷などによる低血流状態からの軽度の低酸素血症はあるが,過換気によりPaCO2は低下しており,呼吸性アルカローシスを生じている。
 〔第2相〕 軽度の呼吸困難はあるが,過換気はまだ持続しており,PaCO2は低下している。しかしPaO2は低く,酸素濃度を上げてもその上昇が悪い。シャント率は増加している。
 〔第3相〕 呼吸困難が強くなり,胸部X線写真でも雲状の陰影が全肺野にみえてくる。PaO2の低下は著明で,A-a DO2は増大する。濃厚な呼吸管理によっても病状は進行するが,まだ回復の可能性は残っている。
 〔第4相〕 低酸素状態はさらに強くなり,いかなる酸素療法にも反応しない。PaCO2も上昇し,pHは低下して代謝性および呼吸性のアシドーシスを生じる。やがて心停止となる。
 病因としては肺毛細管圧の上昇,膠質浸透圧の低下,各種ケミカルメディエータの関与などにより血管透過性の亢進などが起こり,このことにより拡散,シャント率,換気血流比,A-aDO2に異常を生じるものと思われる。その原因としては,microembolism(微小血栓),DIC,ショック状態(出血性,敗血性),過剰の輸液・輸血,脂肪塞栓,肺循環動態の変化,各種ケミカルメディエータ(TNF,インターロイキン,NO,活性酸素など),カテコールアミン,セロトニン,ヒスタミンの遊離,酸素中毒,感染,内分泌の影響,脳損傷などが考えられている。
 病理組織変化としては,2〜3日後では肺のうっ血,肝様化,5〜7日では肺は浮腫状,気管支肺炎様になる。ARDSはALIの重症型と考えられているが( ⇒ ),今後とも検討が続くと思われる。

今日の診療プレミアムVol.18 (C)2008 IGAKU-SHOIN
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